2014年5月23日金曜日

初めての散髪

 あと三ヶ月で二歳になる八ちゃんを、初めて散髪に連れて行った。吉ちゃんは生後八ヶ月目に、徳島で床屋さんの親戚に胎毛筆を作っていただいたので、八ちゃんにも作ってあげることにした。近所では胎毛筆を作ってくれるお店が見つからなかったので、電車で二つ隣の駅まで行った。
 駅から地図を見つつも迷ってしまった。炎天下、疲れたと言う吉ちゃんを、主人は肩車して歩いた。徒歩15分程のはずが、小一時間かけてようやく住宅地にある小さなヘアサロンにたどり着いた。鋏でちょきちょきされてもバリカンでガーガーされても、八ちゃんは借りてきた猫、というか猫の剥製みたいに、泣くどころか微動だにしない。その様子は吉ちゃんの時とそっくりだった。怖いのか、不思議に思っているのか、何も考えていないのか、全く読み取れない謎の表情。
 昨夜は「髪の長い八ちゃんを見る最後の夜」、今朝は「髪の長い八ちゃんを見る最後の朝」と、女の子みたいな八ちゃんを名残惜しく見ていたけど、坊主がとっても似合っている。お地蔵さんみたいな頭、牛皮みたいに透き通ってプニプニした耳、人さし指で撫でたくなるぼんのくぼ、、この愛くるしさを今まで髪の毛で隠していたとはたいそう勿体無かったと、幸福な後悔を味わった。
 「思い切って坊主にして本当に良かった!中途半端な髪型じゃつまんないもんね。」と私が言うと、「そうだね。でも坊主にしてなかったら、『坊主なんかにしないで本当に良かった』って言ったんだろうね。」と、幸福なたられば論を主人が言った。


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